1970年代

電子線描画装置

〜装置・材料/リソグラフィ〜


電子線(EB)描画法は、光方式より微細なパターンをマスクを用いずに直接描けるので、1960年代から米欧日で開発が進められてきた。日本では1966年に始まった工業技術院の超大型プロジェクト「超高速性能電算機の研究」において、電気試験所(後の電子技術総合研究所)が高速半導体デバイスの開発用に電子ビーム描画装置の開発を行い、これを日本電子が1967年に完成させた(JEB-2B)[1][2]

1970年代に入ると、電子ビーム露光法が光リソグラフィに変わる有力候補とされ、ベル研究所、IBM、NTT、東芝、日立、富士通などで実用化開発が一斉に開発が進められた。最初の実用化式はベル研究所によって開発されたEB描画機とPBS(ポリ-ブチンスルホン)をベースポリマーとするポジ型電子線レジストの組み合わせであり、フォトマスク製作およびウェーハ露光に適用可能となった。このEB描画機は1977年にイーテック(ETEC)から発売された。日本では、1976年に超LSI研究組合が発足し、東芝、日立、富士通による電子ビーム露光装置の共同開発が進められ、1978〜79年に、ラスタースキャン方式EB描画機(VL-R1/2)、可変成形ビーム方式EB描画機(VL-S1/2)、電界放射電子銃方式EB描画機(VL-F1)が開発され、実用化へと進んだ。レジストにはベル研究所開発のPBS系電子線レジストが使われ、国内ではチッソが製品化した。超LSI研究所では電子線レジストが装置開発と並行して進められ、1980年に東レからテトラプロピルα-クロロアクリレートをベースポロマートとして解像性を高めたポジ型電子線レジスト(EBR)が開発され、90年代にはEBレジストの標準型になった。

電子線描画方式は光露光方式に比べて、@高速図形発生、A高解像度、B(ウェーハ露光で)マスクレスの特長があり、LSIの開発試作や少量多品種のLSI生産、高周波トランジスタの生産などに使われた。しかし図形パターンを一つずつ描画して行くので、光露光方式に比べてスループットが著しく低く、汎用LSIの大量生産には不向きであった。
一方、光露光用のフォトマスクは微細化と共にパターン数が指数関数的に増え、パターンジェネレータ[3]でのマスク製作に100時間以上を要するようになり、限界に達しつつあった。ここに電子線描画方式の高速図形発生の特長が有効となり、フォトマスク製作、および後に登場する縮小投影露光のレチクル作成に不可欠となった。以後、電子線描画方式は微細加工がナノメータ―領域になる現在においてもレチクル製造に使われている。


【参考文献】
[1] 垂井康夫 “電子ビーム描画装置の開発“
[2] 宮内栄、横内光広 “電子ビーム露光“ 真空12巻7号,p250-258, 1969
[3] 半導体歴史館;1968年:パターンジェネレーター

 

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[1] 1950年代後半:ネガ型フォトレジスト
[2] 1959年:ステップ・アンド・リピートカメラ
[3] 1960年代:コンタクト方式リソグラフィ技術によるシリコンデバイスの製造
[4] 1960年代:フォトリピーター
[5] 1960年代:フォトマスク製造用縮小カメラ
[6] 1970年代中頃:リソグラフィー技術がコンタクト露光方式からプロキシミティ露光方式へ移行
[7] 1960年代: コンタクト露光装置
[8] 1960年代: ネガ型フォトレジストの展開
[9] 1968年:パターンジェネレーター
[10] 1970年代後半:リソグラフィ分野でプロジェクション・アライナーが登場
[11] 1970年代:プロキシミティ露光装置およびプロジェクション露光装置
[12] 1970年代:ポジ型フォトレジスト
[13] 1978年:縮小投影露光装置
[14] 1980年代前半:微細化が進みリソグラフィはステッパに移行
[15] 1980年代:g線縮小投影露光装置の展開
[16] 1990年代後半:露光光源の短波長化(i 線からエキシマレーザー光へ)
[17] 1990年代前半i線縮小露光装置
[18] 1990年代後半:エキシマステッパー
[19] 1990年代後半:化学増幅系レジスト
[20] 2000年代:露光装置の光源がArFエキシマレーザーに移行し、更にレンズの液浸化適用拡大
[21] 2000年代:高解像度化技術
[22] 2000年代:液浸スキャナー


[最終変更バージョン]
Ver.001 2018/10/01