1954年
日本で初めてゲルマニウムトランジスタの販売開始

〜個別半導体・他〜


1947年にBardeenとBrattainによって点接触型トランジスタが発明されたが、実用的ではなく、商用化されたのは1951年にShockleyによって発明された接合型トランジスタであった。

神戸工業は、GEが1951年に開発したn型ゲルマニウム薄片の両側からIn粒を合金反応させて、pnpトランジスタをつくる技術を、1954年1月に導入、合金トランジスタの製造を開始した。同じ月に日本初のトランジスタラジオを公開しているが商品化まではいたらなかった。

1953年ソニーはトランジスタ特許を所有していたWestern Electric社からライセンスを受けて、接合型ゲルマニウムトランジスタの開発に着手し、1954年には生産を開始した。その後日本の半導体メーカ各社もRACなどから技術供与を受けてゲルマニウムトランジスタの開発・生産に参入した。当初のトランジスタは高周波特性が良くなく、ラジオの増幅部と出力部には使えたが、受信部には使えなかった。1953年RCA社のKroemerにより、高周波特性を改善したドリフトトランジスタが発明され、これがその後ソニーによる世界初の実商用化されたトランジスタラジオにつながって行った。トランジスタラジオの商用化によってトランジスタの市場が開け、その他の日本各社も1950年代後半からゲルマニウムトランジスタの量産を開始し、1950年代末には日本の生産量は世界トップとなった。

1955年3月に、トランジスタ回路に関する日本最初の教科書、大脇健一、有住徹弥“トランジスタとその応用”(電波技術社)が刊行された。

ゲルマニウムトランジスタは主として合金法という製法で作られたが、ソニーは、当初のトランジスタラジオに使用した高周波トランジスタを、合金型ではなくグローン型と呼ばれる結晶成長方式で製造した。グローン型では結晶成長の途中で不純物(ドーパント)濃度を変えるが、この濃度制御に起因する不良品のトランジスタの解析から江崎ダイオードが発明されたと言われている。

東通工(ソニーの前身)で作られたトランジスタ(ポイントコンタクト型【写真・上】、
ジャンクション型【同・中】)とダイオード【写真・下】(1)



【参考文献】
1)"トランジスタに“石”を使う"、Sony History, 第1話 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/1-06.html


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rev.002 2013/5/9