1973年
エンジン制御用12ビットマイコン開発(東芝)

〜集積回路〜



1970年に米国で大気汚染防止法(いわゆるマスキー法)が制定され、これをクリアするため自動車メーカ各社はエンジンの電子制御技術の開発を推進し始めた。1971年、東芝はFord社のEEC(Electronic Engine Control)プロジェクトに参画し、1973年に世界初の12ビットマイコンを開発した。12ビットという仕様はエンジン制御のためのアナログ量の精度から設定されたもので、当時Intelの8ビットマイコンが登場したばかりの時期としては、最先端の製品であった。

このマイコンシステムは12ビットのコモンバスを軸に構成され、CPUであるTLCS-12を初めとして、128x4ビットRAM、512x4ビットEPROM、512x4ビットROM、メモリ制御チップ、I/O制御チップ、12ビット双方向バス・ドライバ、汎用418ビット・レジスタ、8ビット割り込みラッチチップが開発された。アーキテクチャの面では、半導体のマイクロプロセッサとしては初めてマイクロプログラム制御方式が採用された。CPUチップTLCS-12はシリコンゲート6μmプロセスを採用し、約2800ゲート、チップサイズは5.5mm x 5.9mmであった。

12ビットCPU、RAM、EPROM、ROM、メモリ制御チップ、I/O制御チップなどはEECモジュールとして納入されたが、実際に量産が開始されたのは実車走行試験などを経て1975年であった。

図 12ビット マイクロプロセッサ CPUチップ写真
(提供:東芝)

【参考文献】
波本敬二ほか 「12ビット並列のマイクロコンピュータ “LCS-12”」 日経エレクトロニクス 
pp50-76  1973年8月13日号


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rev.001 2010/09/24