BBSトリオ揃い踏みのパネル討論会


トランジスタ発明25周年記念パネル討論会

トランジスタ発明25周年記念パネル討論会に出席したBell電話研究所の「BBSトリオ」。左からリーダー格で才気煥発のW. Shockley、理論家でいちばん年下のJ. Bardeen、実験屋で最年長のW. Brattainの各氏。1973年3月、IEEE主催でニューヨーク市内のホテルで開催された。
 討論のテーマは「トランジスタの昨日、今日、明日」。この3人がノーベル賞受賞(1956年)後、公式の席上で顔を会わせるのは珍しいとのことで、300人ほどの席が用意された会場は、定刻前に早くも超満員の聴衆で埋まった。
質疑応答に入って聴衆の一人から「半導体産業は巨大産業に成長したが、あなたたちはいくら儲けたのか」との質問が飛んだ。Brattain氏が「研究所からは特許報酬金として1ドルもらっただけだ。金にはもともと未練がない」と答え、Bardeen氏も「私だって1ドルだった」と言って聴衆を笑わせた。
 2人とは対照的にShockley氏が無言のままだったのは、彼だけがトランジスタの商用化を目指して米国西海岸にShockley Semiconductor Laboratoryを設立(1955年)したことと無関係ではない。この試みは2年足らずのうちに失敗したが、今日のシリコンバレーの最初の半導体企業として産業史に名前を残している。

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