「ヒナよ、殻を破って出て来い」


IEEEインターコーン トランジスタ発明25周年特設会場風景


ヒナよ、殻を破って出て来い

 名実ともに「科学技術大国」の米国では、しばしば「発明○○周年」の記念行事が行われる。お祭り騒ぎが大好きの国民性を反映してか、それを国民的行事にしていく演出力が卓抜。トランジスタ発明25周年の場合もそれは同じで、1973年3月下旬に開かれた「IEEEインターコン」では前掲のパネル討論会を開く一方で、それを記念する特設コーナーが写真のように設けられた。名づけて「Solid State Innovations and Application Center」。
 展示品には、世界最初の点接触トランジスタの複製品もあれば、選り抜きの半導体応用製品もずらり顔を並べている。トランジスタが果たす役割を謳いあげた展示パネルに大書された「 トランジスタ─アメリカの奇跡」さながらの風景だ。
 もう1枚のパネルには、発明当時のBBSトリオが寄り添う例の写真が大写しにされ、それに重なり合うように「I hope you can break away and come」というShockleyの筆跡が参観者に呼びかけている。これを「ヒナよ、殻を破って出て来い」と訳したのはShockleyと交友関係にある菊池誠氏である。

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