最初のシリコンバレー紹介記事

 
初めてシリコンバレーの呼称を用いた「エレクトロニック・ニューズ」誌 (拡大可能)

 米国西海岸のサンフランシスコ湾南岸一帯(いわゆるベイ・エリア)に広がる地域を「シリコンバレー」と呼ぶようになったのは、世界の半導体産業の発祥の地で、しかもこの産業の主力企業が群れをなして集まった集積地だったからである。「バレー」の名称は、ゆるやかな起伏で広がるサンタクララ渓谷に因んだものだ。
 IC生産の本格化時代に突入した1970年代初め頃からそう呼ばれるようになったが、誰が名付け親かは不明のままである。ただ私自身が想像するところでは、米国の業界紙「エレクトロニック・ニューズ」(週刊)に初めてこの呼称で連載記事を書いたDon C. Hoefler記者ではないか。写真に示したものがその記事で、同紙1971年1月11日号から3回にわたって「Silicon Valley U.S.A.」のタイトルの下、同地を舞台にしたこの産業の「人、金、裁判」をめぐる秘話が戦国史風に描かれている。第1回の2、3面には見開きで、Moore、Hoerni、Noyce、Shockleyといったお馴染みの顔が大写しになって登場する。
 私はこの連載を当時兼松電子部の安井郁郎氏(後に専務)から入手し、最初の著書『IC産業大戦争』(ダイヤモンド社)の執筆にずいぶん役立てたものだ。

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