日本発技術のフラッシュメモリー

 
フラッシュメモリーの開発成果を伝える 米「ビジネスウイーク」誌の記事 (拡大可能)

 1980年代を頂点に「メモリー大国」の名を欲しいままにした日本の「特産品」がフラッシュメモリーである。東芝ULSI研究所に在職していた舛岡冨士雄氏(後に東北大学教授)が1980年に開発に成功し、84年12月のIEDMで初めて学会発表した。
 「フラッシュ」という名称は、前記IEDMに論文を発表する際、「参加者から受けるネーミングはないか」と仲間と相談して着想した。一括消去の原理を写真のストロボのフラッシュのイメージと重ね合わせた。
 写真はその成果を伝える米「ビジネスウイーク」誌の記事だが、舛岡氏の独創的成果を高く評価する一方で、「製造プロセスが複雑でモノにならない」という米Intel関係者の意見を載せている。同社がその後フラッシュメモリー事業部をつくり、このビジネスを積極的に推進したことを考えると運命の皮肉というほかはない。
 舛岡氏は開発当時、「このメモリーは21世紀初頭にかけて半導体産業の牽引車になる」と私に話してくれたが、今や情報記憶媒体としてハードディスクの地位を揺るがしつつあることを見ると、氏の夢は正真正銘の「正夢」だった。

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