金メダル vs. 銅メダル


IEEEがトランジスタ発明25周年にショックレーらにお贈った記念メダル
(志村氏所蔵のレプリカ写真)

 トランジスタ発明25周年記念パネル討論会の開会に先立ってIEEEが3人の発明者に贈った記念メダルのレプリカ。実物は金メダルだったが、プレス関係者として参加した私に手渡されたのは、同じ鋳型で打ち抜かれたとはいえ銅メダル。添えられた説明書には諧謔を込めて「トランジスタを発明しなかった諸君へ」と書き込まれている。
 ところで、このメダルの裏面には「1948〜1973 25 YEARS OF PROGRESS」と刻み込まれている。ベル電話研究所でトランジスタの増幅現象が確認されたのは1947年12月16日とされているから、本来なら「1947 〜1972」となるはずだ。それが1年ずつずれ込んだのは、ベル研の正式発表が翌1948年の6月30日になったからで、これを発明年とする説を採用したことにある。
 なぜ正式発表が半年以上も遅くなったのかは、ベル側が特許戦略上の問題と応用面の見通しに慎重かつ最善を期したからだといわれる。

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