最初の応用製品「プリンター付き電卓」

  
写真A(左) 「4004」を搭載したビジコン製の「プリンター付き電卓」  写真B(右)  当時のビジコン社長 小島氏

 写真Aは「4004」の最初の応用製品であるビジコン製の「プリンター付き電卓」である。2005年にIntel Museumを見学した際に撮影したもので、入り口すぐ近くのコーナーに、いささか誇らしげに展示されていた。説明文には「販売台数は10万台に上った」と記されていた。
 同社製のマイクロプロセッサーは以後急ピッチで応用範囲を拡げていくが、何とも興味深いのは、当初Intel側では、このチップの汎用性に気づいていなかったことだ。同社会長を務め現在最高顧問のG.Moore氏は自著『インテルとともに』で、「われわれはホフ氏の発明を画期的な内容だと評価していたが、電卓専門の半導体だと考えていた。パソコンなど思いもよらなかった」と記している。
 ビジコンの委託によって開発されたチップが独占使用権を継続できなかったのはなぜか。同社社長だった小島氏は私の質問に対して、「それはあくまでも計算機用途で、4ビットチップに限定した独占権だったからだ」と答えている。
 その小島氏は87歳を数える今日、なお健在である(写真Bは07年に撮影)。

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