予告なしの「CCD」発表

 
IEEE主催のパネル討論会「1970年代のICはどこへ行くのか」に出席したパネリスト

 デジタルカメラなどの撮像素子として普及した電荷結合素子(CCD)の登場は突然だった。1970年3月下旬、米ベル電話研究所のWillard Boyle氏がIEEE主催のパネル討論会「1970年代のICはどこへ行くのか」で予告なしに自らの成果を発表したからだ。
 写真はその討論会に参加したパネリストを撮影したもので、中央のBoyle氏をはさんで左側にIntelのR. Noyce氏、右側にTIのJ. Kilby氏らが顔を並べている。当時は米国においても半導体産業の成長期のさなかにあり、各社が新技術・新製品を競うように発表していた。
 私はたまたまこの討論会を取材したが、Boyle氏が新しい半導体素子のCCDについて、「バイポーラ型でもMOS型でもないこの新素子は近い将来、画像センサーやメモリーとして実用化されるだろう」と発言していたのを覚えている。
 氏はその功績が認められて同僚のGeoge Elwood Smith氏とともに2009年にノーベル物理学賞を受賞している。

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