2000年代
露光装置の光源がArFエキシマレーザーに移行し、
更にレンズの液浸化適用拡大

〜プロセス技術〜



露光装置で転写されるパターンの最小解像線幅および解像可能な焦点範囲は,以下のReyleighの式で表される。
R=k1×λ/NA , DOF=k2×λ/NA2
(R:最小解像線幅,DOF:焦点深度,k1,k2:比例定数,λ:露光波長,NA:投影レンズ開口数)

2000年代以降の微細加工の最先端を担っているのは,ArFエキシマレーザー(波長:193nm)を光源に用いる高NAスキャナーである。NAは現在0.9程度まで引き上げられ,65nm世代の製品に適用できるレベルにある。ただしこれ以上の高NA化は限界に達し,大幅に減少する焦点深度DOFは,チップ歩留りの低下を引き起こしかねない。

一方次の世代の光源として期待されているEUV(Extreme UltraViolet)露光は,数多くの技術課題を抱えたまま,実用化の時期が遅れている。

これらの状況下で,光源はArFのままでNAを引き上げる技術として,液浸露光法が導入された。NAは,nsinθ(n:レンズ−ウェハ間媒質の屈折率,θ:レンズからウェハへの光の最大入射角)であり,空気中にある従来の露光装置ではn=1,ウェハ上での光の入射角は70°近くに達する。このレンズとウェハの間を純水で満たしてパターン転写するのが液浸露光技術である。純水のArF光における屈折率は1.44で,これを掛けた分NAは大きくなり,1を上回ることが可能になる。現在はNA=1.3程度のスキャナが実用化され,45nm世代の製品に適用されている。

液浸露光の技術的課題の一つは,レジスト表面が純水に曝されることにより,レジスト中の感光剤等の成分が溶け出してしまう点であった。これによりレジストの解像性能が低下してしまい,また溶け出した成分がレンズ表面を汚してしまう問題があった。これは材料メーカが開発した保護膜を,レジスト上に塗布することで解決した。

このArF液浸露光技術とダブルパターニング技術により,次の世代のデバイス開発がなされる可能性が高い。


【参考文献】


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【最終変更バージョン】
rev.000 2010/10/26