1980年代前半
異方性プラズマエッチング装置(RIE)の導入

〜プロセス技術〜



それまで使われてきた等方性エッチングでは、レジスト下部で横方向にもエッチングが進み、エッチング後のスペース寸法がレジスト寸法より広がる現象があった。しかし、微細化が進むにつれ、1975年頃(3μmノード)から、この現象が無視できなくなり、レジスト寸法通りにエッチングできる異方性プラズマエッチング(RIE)が使われるようになった。これにより微細化は飛躍的に進んだ。

RIEとは、真空中にエッチングガスを導入し、ウェーハを載せた電極と対向電極間に高周波電界を印加することでプラズマを生成し、このとき生じる電界によりウェーハに垂直方向に引き込まれるイオンの助けを借りて異方性のエッチングを行う技術である。

RIEには、@平行平板型(平行平板に高周波を印加)、Aマグネトロン方式(プラズマに磁界を印加して高密度化)、B誘導結合(ICP)型(コイルにより誘導電場でプラズマ生成)、C電子サイクロトロン共鳴(ECR)を利用した高密度プラズマ、の4つの主な方式がある。初期の生産には、デバイスメーカやその関連会社が内製した平行平板型装置が使用されたが、1980年代に入りAMAT社などの専業の装置メーカが台頭した。日本では東京エレクトロン、日製産業(現日立ハイテクノロジーズ)などが参入、マグネトロン方式やECRを用いた高密度プラズマによる高速・高精度加工を実現した。

RIEは、微細化によってLSIの高集積化を進める原動力となったが、一方、ウェーハ表面の帯電に起因するゲート絶縁膜の静電損傷や、パターン密度によるエッチング特性のばらつき、副生成物の堆積によるパーティクル発生など課題が次々と顕在化した。これらは、微細化、ウェーハの大口径化、生産性の向上、更に環境対応と合わせて装置メーカやデバイスメーカの定常的な課題となった。


【参考文献】
創立20周年 社団法人化10周年記念誌(SEAJ)


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【最終変更バージョン】
rev.001A 2010/10/26