1992年
独自アーキテクチャの32ビットRISC型マイコン(日立)

〜集積回路〜



マルチメディア時代を迎え32ビットマイコンが脚光を浴びてきた。そして、それまではCISC技術が32ビットマイコンの中心であったが、コストパフォーマンス面で有利なRISCがサーバー用途の32ビットマイコン技術として急速に発展してきていた。

市場では、サーバーメーカ大手や半導体メーカからSPARC、PA-RISC、POWER-PC、MIPS、ARMなどRISC技術の多くの新しい32ビットマイコンが発表され始めていた。 

一方、コンピュータや半導体などのIT業界では知的所有権などコンピュータアーキテクチャに関する権利主張が高まっていた。こういう環境下で、国内半導体メーカでは海外のマイコンアーキテクチャと互換な製品から独自のアーキテクチャのマイコンへの転換が進んでいった。

日立ではRISC技術をエンベッディド用途に最適化した新しい32ビットのマイコンアーテクチャSHマイコンが開発された。「性能(MIPS)/チップサイズ、消費電力/性能(MIPSMIPS)、コード効率の全てで世界一のマイコン」という数値目標で開発が進められ、1992年に製品発表、市場導入された。そして、カーナビやデジカメなど32ビットクラスの性能が要求される新しいデジタル民生機器などに広く採用された。SHマイコンはロードマップに沿って製品系列の開発が進み、自動車などの制御用途、コンピュータ周辺機器、携帯電話などの携帯電子機器に幅広く採用が広がり、1995年には販売数量世界一のRISCマイコンとなった。

2000年以降急速に成長した携帯電話の分野においては、通信キャリヤ、携帯電話機端末メーカ、そして半導体メーカが共同してマイコンとソフトウエアを一体とした製品プラットフォームを開発しソリューションとして業界に提供してゆくという新しい形態のビジネスモデルが確立された。SH-Mobileシリーズはそのビジネスモデルにおいて中核的役割を担ってきた。また、2010年6月には宇宙を60億km飛行して7年ぶりに帰還した小惑星探査機「はやぶさ」にもSHマイコン(SH3)が採用されており、結果的にその低消費電力性や信頼性が実証された。

図 最初のSHマイコンSH1のチップ写真
(提供:日立)


【参考文献】
1) 「SuperH」『フリー百科事典ウイキペディア日本語版』(2010年5月13日12:17)
http://ja.wikipedia.org/wiki/SuperH 

2) 「小型高機能科学衛星INDEXの開発」 宇宙航空研究開発機構ホームページ
http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.281/front_line.html


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【最終変更バージョン】
rev.003 2013/5/9