「トランジスタ情報はGHQより」


GHQから入手した文書のコピー(拡大可能)

 「光は東方より」になぞらえていえば、「トランジスタ情報はGHQより」といえようか。というのも、1948年6月30日にベル電話研究所からトランジスタ発明の正式発表がなされるや、その情報は7月中旬に早くもGHQ(連合軍総司令部)を通して日本側の関係者に伝えられていたのである。情報を出したのはGHQの民間通信部(CCS)研究部長というポストにあったF.Polkinghorn、受け取ったのは当時電気試験所長の駒形作次氏、東北大学教授の渡辺寧氏とされる。
 写真はその際に日本側が入手した文書のコピーである。文書の中には軍関係のものが含まれていたためか、実際には駒形研究室に所属していた佐々木亘氏(後に東京大学理学部教授)の手で改めてタイプされたものだ。コピー上部に「五反田 電気試験所」と見えるのはそのためだ。私はその実物を同所電子管部で仕事をしていた一宮虎雄氏(後に理化学研究所副理事長)に見せてもらい、その何枚かを写真に収めた。
 このうち写真Aは1948年6月23日、一般公開に先立って軍関係者のみを対象にして行ったトランジスタ特別説明会の関係文書、写真Bは同年6月30日の記者発表の際、ベル研のR. Born部長によって行われた説明の要旨で、7月9日の日付が付いている。

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