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パッケージング技術

IC/LSI用パッケージ外形の変遷(図)

1960年代

1960年代 TOP(Transistor Outline Package)時代
1960年代はIC(Integrated Circuit 集積回路)の黎明期であり、米国からIC技術が導入され、半導体各社においてパッケージ材料開発や組立装置技術開発などが行われた。ICの数量拡大に伴い、1960年代後半より半導体パッケージ材料や装置の技術は、専門メーカへ製造委託が開始され、製造技術が専門メーカに移転された。


1960年頃:トランジスタ用キャンタイプパッケージ
  真空管用のパッケージを基本としてトランジスタ用パッケージが開発された。金属のベー
  スに端子部を高融点硝子で溶着したステムと呼ぶ部品に、アロイ型トランジスタの端子
  に個片リードをはんだ付けし、錫めっきの金属キャップを被せ、ステムと錫―錫で勘合
  封止された。

1964年頃:マイクロモジュールの開発
  マイクロモジュールは、乾式アルミナセラミック基板の端面をメタライズしたセラミック基板
  上に、圧膜印刷抵抗やコンデンサーを形成し、そこにトランジスタ素子をボンディング接続
  した基板を、多数枚重ね合わせ、端面部に金属リード線をはんだ付けして3次元積層し
  小型高密度実装を実現したものである。帽子に付ける無線機器などに適用された。

1965年頃:MOSトランジスタの誕生
  MOS型トランジスタにおいて、シリコン結晶面は<100>結晶面が特性が最も良いこと
  が発見され、トランジスタ素子がキャン型パッケージ4ピンに搭載された。このトランジスタ
  が、MOSLSIの基本構造トランジスタ素子になり、その後NMOS、CMOSなどへと発展
  した。

1965年頃:レジンモールドパッケージの開発
  トランジスタの量産数量の拡大に伴い、キャンタイプと比較して安価な材料である樹脂
  封止型パッケージが開発された。径0.4mmφ程度の金属線(リードと呼ぶ)の先端部を
  プレスで平坦化した3 本のリードを冶具で固定して、平坦部に素子ダイボンド、金線
  ワイヤーボンドで接合後、これを凹部形状の冶具に入れ、シリコーン樹脂などを凹部に
  流し込み乾燥硬化させてパッケージが完成された。

1966年:日立IC1号完成
  1インチウェーハ上に形成された、チップサイズは1.2mm□程度で、ANDやNORなど基本
  論理回路が形成され、TO型10ピンのキャンパッケージであった。

1967年:FPG10ピン適用DTLの開発
  ICのリード端子拡大に伴い、小型でリード本数の多くすることが出来る硝子封止型
  (FPG:Flat Package Glass)の表面実装型パッケージ10ピンが開発された。金属リード
  は、薄板をエッチング加工して製造し、これをリードフレームと呼んだ。リードフレームの
  先端部にはアルミ蒸着しアルミ線の超音波ボンディング法で素子を接続した。

1968年:ハイブリッドIC技術の開発本格化
  アルミナセラミック基板上に厚膜抵抗、キャパシターなどをスクリーン印刷法でアルミナ
  セラミック基板上に厚膜抵抗、キャパシターなどをスクリーン印刷法で形成し、その基板
  上トランジスタ、ダイオード等の素子を接続することで、ICを形成する技術が開発された。
  これはハイブリッドIC(混成集積回路)と呼ばれ、テレビの電源や自動車のレギュレータ
  部などに使われた。

1968年:日本初の積層セラミックパッケージ誕生
  IC端子数の更なる増大に対処するためと耐熱信頼性が高い気密封止型パッケージが
  必要になり、積層セラミックパッケージ法が米国RCA社より技術導入されFPC
  (Flat Package Ceramic)14ピンが開発された。

1969年:FPC42ピンの開発
  表面実装型積層セラミックパッケージ42ピンが開発され、このパッケージに10個の
  MOSICを搭載して卓上型電子計算機が誕生した。


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1970年代

1970年代:ピン挿入型DIP(Dual In-Line Package)時代
電卓用のICやLSI(Large Scale Integrated Circuit 大規模集積回路)が半導体パッケージ技術を牽引し、日本の半導体パッケージ技術が米国より先行して多ピン化が推進された。1970年前半は気密封止型が先行したが、カラーTVなど民生機器の量産拡大に伴い、低コストが実現できるプラスチック封止型パッケージが開発された。電卓用IC・LSIのピン数拡大と数量拡大に呼応して、プラスチックパッケージの設計・製造・材料・装置技術など関連技術が幅広く日本で開発展開された。


1970年:ピン挿入型積層セラミックパッケージ開発
  表面実装型は、プリント配線基板への半田付け実装がはんだゴテによる方法であったの
  で、よりはんだ付け工程の合理化を実現するために、ドリル穴を100ミルの格子状に開け
  て、その穴にパッケージのリードピンを挿入するピン挿入型が開発された。リードピン
  ピッチ100ミルの2列配置形状でDIP(Dual In-line Package)と呼ばれた。リードピン列の
  間隔は300ミルの16ピン、600ミルの24ピンなどが開発され、その後28→40→42→64ピン
  などへ拡大氏し、52ピンからはピンを格子状に配置したPGA(Pin Grid Array)になった。

1970年:ピン挿入型低融点ガラスパッケージ量産拡大
  積層セラミックパッケージより安価な低融点ガラスパッケージが開発された。低融点ガラス
  材料に工夫が加えられ大型形状にしても耐熱信頼性が高められ、大型計算機や電卓な
  どMOS型論理回路ICやLSIに適用された。CER-DIP(Ceramic DIP)やDILG(Dual In-Line
  Glass)など呼ばれた。 リード列幅600ミル幅の28ピン程度迄適用されたが、より安価な
  樹脂封止DILP(Dual In-Line Plastic)の信頼性向上が進み、置き換わっていった。

1970年前半:樹脂封止型DILパッケージ製品の展開
  次いで、低融点ガラス封止型よりさらに安価な気密封止型パッケージとして樹脂封止型
  パッケージが開発された。カラーテレビ等の用途に量産性の優れた封止型DILP8ピン、
  14ピン、16ピン、音響IC用に放熱板を持つSILP(Single In-Line Plastic)、12桁〜18桁
  表示の卓上電卓LSI用に40ピン、42ピンなどのエポキシ樹脂封止型が相次いで開発さ
  れた。Au-SiダイボンドからAgペ―ストに変更、部分Auめっきから部分Agめっき液を吹き
  付けてめっきするスパージャーめっき法が開発された。ピン数はピン列幅900ミルの
  64ピンが最後で、樹脂型PGAに置き換わっていった。

1971年:超高性能電子計算機研究組合向け36ピン開発
  国産IC育成の国家プロジェクトである超高速電子計算機研究組合のLSI用に開発され
  た。アルミナグレーズドアルミナ基板に2層配線層を設け、10個のICをフリップチップ接続
  しLSI化し、リード端子をパッケージの4辺に配置しX-Yの2辺シームウエルド後リードフレ
  ームを90度曲げされた。

1973年:トランジスタ用自動ワイヤーボンダーの開発
  日立製作所はトランジスタ素子のボンディングパッドとリードフレームのボンディング位置
  とをカメラ画像に取り込み時分割パターン制御するトランジスタ用の自動ワイヤーボンダ
  ーを開発した。この画像認識方式は、ICやLSI,産業用ロボットなどに広く採用されること
  になり、半導体産業や工業用ロボットで、世界をリードする基点となっていった。

1973年:サイドブレーズ型パッケージの開発
  DILC( 300ミル列のDIL型積層セラミックパッケージ)より大きなチップサイズのメモリ素子
  を実装出来るように、リードフレームをパッケージ本体の側面に銀蝋付けしたパッケージ
  として、サイドブレーズDILCが開発された。積層セラミック技術は量産拡大に伴い、セラ
  ミックメ−カ(京セラ社など)に製造委託され、米国マイコンLSIなどへの展開が行われた。

1975年頃:薄い砥石による自動ダイシング法確立
  自動ダイシング1号機をセミコンウエストに展示した。純水によるMOSICのゲート静電破壊
  の防止ために、ダイシング用冷却純水に二酸化炭素の泡を加えること技術開発(日立)
  や、ダイシング後の素子を保持し、ダイボンド工程で個片分離し易くしたテープ(日東電
  工)などが開発された。

1975年: PGAの開発(世界初)
  LSIのシステム規模拡大に伴う、多ピン・小型パッケージの需要増大に対応してピン端子
  をアレイ上に配置した積層セラミック技術を採用した52ピンPGA(Pin Grid Array)パッケー
  ジが開発され た。リードピンは、セラミック基板本体に開けられた穴に銀蝋付けされた。
  大型電子計算機用ECLHD10Kシリーズなどに使用された。PGAは格子状にリードピンを
  配置した構造で多ピン対応が行いやすく、その後、ピン数の拡大し72ピン、100ピン以上
  へとピン数の拡大が図られた。

1976年:TAB技術、電卓用LSIなどに適用
  シャープは液晶表示用LSIに始めてTAB(Tape Automated Bonding)を採用した。TAB
  技術は一括ボンディングが出来るために、ワイヤーボンディング法より接合時間の短縮
  が図られると期待されていた。TABに使うポリイミドフイルムにスプロケットやデバイス穴
  を空け、そこに銅箔を接着材で貼り合わせる3層構造、デバイス穴に樹脂を埋め込んで
  から露光現像する方法などは新藤電子工業により開発された。

1977年頃:EPROM用パッケージの開発
  ゲートの下部にフローティングゲートを設け、そのゲートに電子を保存し、保存した電子は
  パッケージの外部から紫外線照射によりデータ消去を行うために、紫外線透過ガラス付き
  パッケージが開発された。紫外線透過ガラスとしてサファイア基板などが用いられた。

1977年:世界最初のQFP誕生
  電卓表示部の桁数の拡大や指数関数の特殊文字を表示する等によって多ピン化が
  進む電卓用MOSLSI向け等に表面実装タイプのQFP(Quad Flat Package)54ピンが開発
  された。表面実装技術の採用によって、パッケージ厚みは2.0mmと薄く電卓が小型
  薄型になった。リードフレーム厚みは125μmでリード端子長さは手はんだ付けのため
  に1.7mm 長とした。卓上多桁表示電卓用や4ビットマイコン用LSIに使用された。パッケ
  ージ名は当初FPP(Flat Plastic Package)であったが、半導体外形標準化活動審議を
  経てQFP(Quad Flat Package) と変更になった。

1979年:固体撮像素子の開発
  VTRの普及に伴い家庭用のハンディカメラ用に、半導体を使って画像を取り込むための
  固体撮像素子用に透明ガラス付き積層セラミックパッケージが開発され、その後OA・FA
  用に発光ダイオードの光を読み込むラインセンサーなど、CMOSやCCDなどの画像を
  取込む素子用に多くの形状のパッケージが展開された。

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1980年代

1980年代:表面実装型QFP時代
1980年代に入ると、カスタムLSIからマイコンやメモリの時代になり、低コスト化や携帯型電子機器への要求が強くなり、日本を中心として表面実装型パッケージ技術が確立され、EIAJやSEMIの標準化活動を通じて、パッケージ外形の標準化、材料・装置の標準化が進んだ。


1980年:高放熱FPGの開発
  多層配線セラミック基板で高放熱表面実装型FPG160ピンが開発された。パッケージを
  プリント基板実装後、アルミの放熱フィンが取り付けられ、空冷方式でLSIを冷却する
  大型計算機に使われた。

1982年:MSPの開発
  家庭用ビデオカメラ一体型VTR搭載用に小型表面実装型パッケージMSP(Mini Square
  Package)が開発されアナログICなどが搭載された。このパッケージは、リードピンをプリ
  ント 配線基板に垂直に近い形で実装出来るので、実装面積の縮小化が実現され、
  ビデオカメラの小型化に寄与した。

1982年:LSIにCOB技術を適用
  プリント配線基板のLSI搭載部をルーターで窪ませてLSI素子を埋込実装する技術が
  開発され、デジタル腕時計・テレホンカード・体温計などの小型電子機器が開発された。
  LSIに樹脂基板適用の道が拓かれることになった。

1985年:表面実装技術確立
  各種形状の表面実装型パッケージが開発されたが、プリント配線基板へのはんだ付け
  実装方法が不統一であったので、日本電子機械工業会(EIAJ)の半導体外形委員会
  などが中心とした啓蒙活動により、 はんだ付け方法・材料・装置などの開発を進め表面
  実装技術(SMT: Surface Mount Technology)が確立した。

1985年:超音波探傷技術の開発
  表面実装型パッケージの量産拡大に伴い、プリント配線基板へのリフローはんだ付け
  法が開発され、この事によりパッケージ外形を構成している樹脂の破壊や金線破断の
  不良が顕在化するようになりLSI素子やリードフレームの密着性確認をする超音波
  探傷法が開発された。

1986年:イオンクロマトグラフ試験の導入
  樹脂封止型パッケージの信頼性試験において最大の課題は、ボンディング周りの
  アルミが腐食するという不良であった。不良原因を究明の結果、樹脂材料に添加する
  フィラーやリードフレームなどの部品や製造工程での不純イオンが混入にあることが解り
  不純イオンの工程管理が行われた。この試験法導入後、樹脂型パッケージの品質
  信頼性が上がり、マイコンやメモリなどLSI素子にも採用されるようになった。

1986年:QFPの設計概要世界に説明
  日本で開発されたQFPを世界標準にするため、電子機械工業会から半導体パッケージ
  の国際学会IMC(International Microelectronics Conference)でQFPの設計概念と優
  れている点などが発表され、多ピンパッケージとしてQFPが存在することが海外に初め
  て報告された。

1986年:PLCC型パッケージ採用DRAMの輸入差し止め請求提訴
  日韓勢によるDRAM市場独占の脅威を感じた米国は、TI社のDRAM特許を無断使用し
  ているとして、日韓9社が製造したDRAMに対して、輸入差し止め請求訴訟を国際貿易
  委員会に行った。これに対して、各社はPLCC構造は、JEDECなど標準化委員会で審議
  されていること、製造方法が異なることなどを説明し、和解交渉の作業をへて64kDRAM
  などの生産が継続された。

1986年:TAB LCDTVへの実装方式確立
  松下電器産業(株)は、TAB方式採用して10“カラー液晶表示テレビを発売した。TAB
  適用LSIと液晶表示パネルの透明電極ITO膜へは、樹脂中に金属微粉末を分散させた
  異方導電フイルムにより接続する方法が採用された。

1988年:第1回日米半導体パッケージ合同委員会がハワイ島で開催
  QFPなど日本で開発されたパッケージ技術を世界に広めるために1985年頃より電子
  機械工業会(EIAJ)が標準化活動を活発化させ、第1回日米半導体パッケージ合同
  委員会をハワイ島で開催した。日本はパッケージ名称記述法、外形寸法記述法、mm
  表示基準などを提案し、軍用規格担当部門などを説得して米国のInch寸法基準をmm
  基準で設計することを承認させた。この年SEMIジャパンのSEMICONのSTSのセッション
  にパッケージ技術を発表する場が設定された。

1988年:1mm厚みQFP量産開始
  樹脂型パッケージの厚みが1.0mmと薄いTQFP(Thin Quad Flat Package)が日立から
  開発された。その後、DRAMやSRAMなどメモリデバイスにも適用され、電子機器の小型
  軽量化が図られた。

1988年:LOC構造開発開始
  DRAMの高密度実装技術としてDRAM素子上にリードフレームを配置して金線接続する
  LOC(Lead On Chip)構造が日立製作所より開発され、表面実装型SOJやピン挿入型ZIP
  (Zigzag In-Line Package)などが提案された。

1989年:内層2層LF208ピンQFPの開発
  日立製作所は、LSI素子の高速化やピン数の拡大に伴いリードフレームの信号ノイズ
  が課題になりリードフレームの下面にグランド層を形成する2層構造のQFP208ピンを
  開発し、大型電子計算機用LSIなどに適用された。

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1990年代

1990年代:小型表面実装型CSP(Chip Scale Package/Chip Size Package)時代
外形標準化を進めた結果、標準パッケージの生産の中心は台湾・韓国など東南アジアにシフトして行くことになった。日本はより高密度実装が可能な小型表面実装技術としてCSP技術を開発の中心とした。素子機能を最小小型外形で電子システムを構成出来るCSPの開発により、携帯電話などの小型情報機器が市場に登場することになった。


1990年:小型高放熱パッケージMCC適用大型計算機出荷
  小型形状でありながら放熱性が高いパッケージ実装方式が日立製作所で開発された。
  MCC(Micro Chip Carrier)は、10〜12mm□のムライトセラミック基板にLSI素子をはん
  だボール接続し、裏面にははんだボールを0.45mm間隔格子で528個付けて、モジュー
  ル基板に実装する水冷冷却方式で、CSPの先駆けのパッケージになった。

1991年:樹脂基板へのフリップチップ接続技術開発
  1991年1月日本IBM社から、コストの高い多層セラミック基板に替えて、高精細な配線
  パターンを形成出来るビルドアップ方式を用いたプリント配線基板に、LSI素子をフリップ
  チップ接続方式によってダイレクト実装する技術が発表された。基板のセラミックから
  樹脂への変換による低コスト化、タングステン配線から銅配線への変換による高性能
  化によって、低コスト高性能パッケージの基本技術となった。

1991年:16MDRAMにLOC構造採用を発表
  TIと日立は、ITC法廷闘争後に、DRAM開発プロジェクト(GT:Got Together プロジェク
  ト)を進め、16M DRAMにLOC(Lead On Chip)構造を採用したことを日経マイクロデバ
  イスに発表した。リードフレームをDRAM素子の上に配置したLOC構造は素子の微細化
  技術によるチップサイズ変更が容易であること、多ビット展開が行い易いこと、高速電送
  が可能であることなど多くの利点があり、その後のDRAMパッケージの基本技術となった。

1992年:LGAタイプCSP量産開始
  1992年、松下電子工業は、LSI素子に金線スタッドバンプを形成し、それをセラミック
  基板にフリップチップ接続する小型のLGA(Land Grid Array)を量産し、携帯電話などの
  MPUに適用した。

1994年:BGAの開発
  多層プリント配線基板にLSI素子を搭載したCOB構造において、COBに設けた裏面
  端子にはんだボールを付けたBGA(Ball Grid Array)開発された。BGAはその後ボール
  ピッチの狭ピッチ化が進みFBGA(Fine pitch BGA)として携帯電話用LSIに多用された。

1994年:CSPのMCMに対する優位性を主張
  米国が主導していた多数個のLSI素子を配線基板上に並べて配置してからワイヤー
  ボンディングで接続しシステムの統合を行うMCM(Multi Chip Module)の考えより、
  素子の機能を100%引き出し外形最小になるように設計したCSPが、高機能電子機器
  の実装に適することをSEMIで説明した。以降世界のパッケージの開発がCSP中心に行
  われるようになった。

1996年:テープ基板を用いたCSP量産開始
  1996年シャープより、ポリイミドテープを用いたTABテープ基板採用でテープの下面で
  はんだボールを付けた構造のCSPの量産が開始された。

1997年:BCC量産開始
  1997年富士通より、樹脂でバンプを設けその先端にめっきで形成された接合端子を持
  つ構造のBCC(Bump Chip Carrier)が開発された。

1997年:QFN量産開始
  1998年松下電子工業(株)よりリードフレームを用いた片面モールド外形で、パッケージ
  の下面に接続端子を持つQFN(Quad Flat Non-Lead)パッケージが量産開始された。

1998年:スタックドCSP量産開始
  シャープはSRAMやフラッシュメモリなどのメモリ素子を重ねる素子積層型のスタックド
  CSPの量産を開始し、三菱電機とスタックドCSPの協調開発も進めた。同年同様の
  構造は富士通・NEC・東芝からも発表され、メモリ素子積層型MCP(Multi Chip Package)
  など多段積層型CSPの開発競争が始まった。この頃LSI素子を多段実装するパッケー
  ジング手法をSiP(System in Package)と呼称するようになり、SiP手法を用いたシステム
  LSIの開発が開始された。

1998年:FPD画面ドライブ用COFの開発
  1998年日立電線鰍ヘ、液晶表示などフラットディスプレイパネル(FPD)を駆動するLSI
  素子をTABテープにフリップチップ接続するCOF(Chip On Film)構造を提案した。COF
  はそれまで使っていたフィンガーリードが無いので、LSI素子のバンプピッチ縮小化が
  図られ多ピン化と生産歩留向上が両立されることになった。

1998年:エレクトロ二クス実装学会の創設
  プリント基板関係の学会で構成されたプリント基板加工学会などが母体となり、半導体
  パッケージ関係技術を中心として研究するエレクトロ二クス実装学会が創設され、
  学会誌が発刊となった。半導体関連の接合技術・材料技術・シミュレーション技術など
  大学からの研究論文発表なども多くなった。

1998年:ウェ−ハ上に形成するW-CSP開発
  前工程プロセスとパッケージング技術の融合が進められ、スタートした。その一つとして
  WL-CSP(Wafer Level Chip Scale Package)の開発がある。これはウェーハプロセス
  処理後にプリント基板への接合機能を、銅めっきなどめっき配線技術を用いてウェーハ
  上で完成させる。この構造は、パッケージ製造工程を前工程で実現できるので低価格
  であり、端子数が少ないアナログ系の携帯電話用ICなどに適用された

1999年:高速メモリ用μBGA量産開始
  日立電線は日立製作所と共同で、米国Tessera社から同社の開発したμBGA(R)構造
  の技術導入後、構造・製法・装置を見直し、TABテープで形成された金メッキ銅リードを
  LSIのアルミ電極にリード接続する接合方式・応力干渉膜に微細穴構造を持つ接着材付
  きテープ技術採用・連続トランスファー成形などを独自開発し、リールツウリール生産
  方式でCSPの量産を開始した。

1999年:電子SIプロジェクトスタート(ASET)
  超先端電子技術開発機構(ASET)に高密度三次元積層実装研究を行う電子SI(System
  Integration) 研究プロジェクトが設定され国家プロジェクトとして5年間の研究が行われた
  (1999〜2003)。シリコン基板に貫通穴を開け銅めっきで素子表面と素子裏面にはんだ
  接続する端子を持つTSV(Through Silicon Via)構造のCCDが試作され、CCD素子の
  下面にはんだバンプを設けた構造などが三洋電機で完成した。

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2000年代

2000年代:3次元積層実装SiP(System in Package)時代
米国は、より多くの回路をチップ上に集積させるシステムLSI(SoC:System on Chip)を得意としていたが、日本は短納期・低開発コストでシステムLSIを実現する方法として3次元積層実装技術の重要性にも注目し、材料や装置メーカなどとSiP技術やモジュール実装技術を進展させ、携帯電話など情報端末の多機能化・モータ駆動部のシステム実装化などを実現させた。


2000年:低インダクタンス型トランジスタLFPAK(R)の開発
  日立製作所よりワイヤーボンディングのインダクタンス成分を低減する構造として、
  素子に金線のスタッドバンプを形成し、その上にリードフレームを配置したLFPAK(R)を
  開発し、Li電池駆動用Power MOS素子などを搭載し、リチウムイオン電池の電池寿命
  の低減などが図られた。

2000年:無線通信多チャンネルPAMの開発
  村田製作所などは、携帯電話のインタネット接続、世界で使える携帯電話などのため
  に多チャンネル通信が可能なPAM(Power Amplifier Module)にLTCC(Low
  Temperature Co-fired Ceramic)技術を用いて、バンドパスフィルタ・バイバスコン
  デンサ・インピーダンス整合など内蔵させるベースバンド部の回路システムを統合する
  PAMの開発が盛んに行われた。

2000年頃:各種フラッシュカード誕生
  デジタルデータを保存するNAND型フラッシュメモリの大容量化開発により、パソコンなど
  電子情報機器の外付け半導体メモリカードとして、コンパクトフラッシュ・マルチメディア
  カード・メモリステック・SDカード・μSDや、USBメモリなど多くのフラッシュカードが開発
  された。

2002年:初めてのSiP製品デジカメに採用
  ルネサステクノロジは、MPU素子上にメモリ素子など異種素子を積層実装してシステム
  LSIを実現するSiP(System in Package)設計技術を確立してデジカメに採用された。
  SiPはシリコン上に全回路を形成するSoC(System on Chip)設計に比べて、単期間
  開発・低開発費・大容量展開などにメリットがあり、デジタルカメラ・携帯電話に採用
  され、その後耐ノイズにも優れていることから、自動車・医療・画像転送など適用が
  拡大した。

2002年:インバータ用パワー半導体モジュールの量産拡大
  パワーエレクトロ二クス分野の半導体部門を残した三菱電機鰍ヘ、モータ駆動部のシス
  テムを統合したモジュールの量産を拡大させた。このモジュールは、IGBT・逆流防止
  ダイオード・マイコンなどの半導体素子を一つのリードフレーム上に配置し、アルミ線で
  素子との接続後トランスファー成形でピン挿入型のパッケージに纏め上げる手法であり、
  DIPIPMTMと呼ばれている。

2005年:マイクロSDカードの多段積層化加速
  デジカメ・携帯電話など手持ち電子機器に写真撮影などの高精彩画像データを格納す
  るために、NAND型メモリシステムの小型大容量化が推進された。ノートパソコン用
  SSD(Solid-State Drive)の大容量化、携帯電話のマイクロSDなど薄肉ウェーハの多層
  素子実装化が進行して、ウェーハのバックグラインド技術による薄型化により8段→
  16段→32段へと拡大した。

2005年:RoHS対応非鉛はんだへの切替加速
  地球環境問題への対応として欧州市場中心にしたRoHS(Restriction of Hazardous
  Substances)対策として、はんだ材料の非鉛実装化が推進され、日本はSn-Ag-Cu系
  材料などを推奨し量産適用拡大した。

2007年:HEVモータ駆動用パワーカード技術開発
  HEV(Hybrid Electric Vehicle ハイブリッド自動車)やEV(Electric Vehicle電気自動車)
  などのモータ駆動部や電源部の低消費電力化に向けた新規パッケージングの開発が
  盛んになった(トヨタ、デンソー)。アルミワイヤーボンディングに替わり、熱伝導率や
  導電率が高い銅のリードフレームで半導体素子をサンドイッチするクリップリード構造
  など低インダクタンス、低抵抗、高放熱構造の製品適用が拡大した。

2009年 TSV採用DRAMメモリモジュール発表
  エルピーダメモリは、シリコン貫通電極TSV技術を採用したDRAMメモリモジュールを
  発表した。DIMM→SO DIMM→Micro DIMMと小型高密度実装技術を、DRAM素子に
  貫通穴を開けポリシリコンで穴を埋め、その素子間をはんだ接合で8段実装することで、
  DRAMモジュールを小型高密度に実現した。

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2010年代

2010年代:サブシステム集積技術への展開
半導体パッケージング技術は、従来の電子(エレクトロン)による情報処理/記憶機能の高密度集積に加え、無線(RF)、光(フォトン)による通信機能や、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)センサ/アクチュエータ等も統合するサブシステム集積技術へと発展を始めた。

シリコンチップ上に電子回路、光回路を集積した高性能・小型・安価な光トランシーバにより、距離を超えてチップ間の広帯域なデータ転送を実現する。

情報を演算処理するプロセッサとワークメモリである大容量DRAM間のデータ転送は、コンピュータ・システムの性能向上のボトルネックになっており、これの解消の為、TSV (Through Silicon Via)により広いバス幅と短い距離で大容量メモリとプロセッサ間を接続する事が必要になってきている。技術開発は2000年代の中頃より活発になり、2014-15年にかけて、HBM (High Bandwidth Memory)、HMC (Hybrid Memory Cube)といった規格のハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)向けTSV積層メモリが相次いで実用化された。

ウェハレベルの再配線技術を用いた高密度パッケージング技術。従来のウェハレベルパッケージと異なり、再配線層(RDL: Redistribution Layer)をICチップ外形を超えて形成することが可能で、これにより複数のチップ間を高い配線密度で接続・集積したり、究極の小型化を実現することが出来る。

チップ上に形成したコイルを用いた電磁誘導により、積層したチップ間の通信を行う技術。機械的なヴィア形成・接続を用いたTSV (Through Silicon Via)積層に比べ、低いコストで同等以上の性能を実現できる可能性があり、期待を集めている。

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【最終変更バージョン】
2016/7/27/