1999年

ビルドアップ材料

〜装置・材料/パッケージ


1990年代、様々な機能回路を一つの半導体チップに集積するSoC(System on Chip)に対してメモリやロジックなどの複数の異なる完成チップをひとつのパッケージに集積するSiP(System in Package)が登場した。MCM(Multi-chip Module)とも呼ばれる。1991年、日本IBMから、複数チップをダイレクト実装するセラミック多層基板に替わってプリント配線板に高精細な配線を形成するビルドアップ方式が発表された[1]。 プリント配線板の両面にエポキシ系絶縁層と銅配線を逐次積層する方法である。

絶縁層となるビルドアップ材料は当初、液状のワニスをスクリーン印刷やカーテンコーターによって塗布した後に熱硬化させて形成された。この方法では、絶縁層を片面ずつ形成するので工程数が多く、また下層の銅配線の凹凸によって絶縁層の平坦性が悪く微細加工が難しかった。そこでビルドアップ材料をフィルム状にして、両面にラミネートし、高圧プレスして平坦化する方法がとられた。

ビルドアップ基板は配線ピッチの縮小、配線層数の増加が進み、ビルドアップ用フィルム材料には銅配線との高い密着性、低誘電率化が求められるようになった。また、チップとの接続にはRoHS規制によって鉛フリーの半田が使用されるようになり、ビルドアップ材料には260〜280℃の耐熱性が必要になった。1999年、味の素ファインテックはこれらの要請を満たし、さらに低圧力のプレスで平坦化できるビルドアップ材料を発表した(ABF;Ajinomoto Build-up Film)。基体となるPETフィルムにABFのワニスを塗布し、ドライ乾燥してフィルム状にしたものである。SiPは2000年代以降の高度化する半導体の基幹技術となり、ABFシリーズはビルドアップ材料の世界標準となって広範に使用されるようになった。


【参考文献】
[1]1991年:樹脂基板へのフリップチップ接続技術開発


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