集積回路2010年代

世界は先端競争、日本は特殊用途へ

2010年代の半導体技術は、世界的に45nmから7nm世代への進化とFinFETなど3次元構造の普及によって微細化の限界に挑む一方、省電力化や新構造への転換が進んだ。スマートフォンの普及が多くの半導体製品の開発を牽引し、ARM系SoCが躍進、AIやビッグデータ需要の拡大に伴いGPU(Graphics Processing Unit)やTPU(Tensor Processing Unit)など専用チップが台頭した。メモリ分野では3D NANDやHBM(High Bandwidth Memory)が実用化され、高速・大容量化が進展した。製造と設計の国際分業が確立し、台湾や韓国をベースとする企業が先端製造を牽引した。
日本では、プロセッサや汎用DRAMの先端量産競争から徐々に後退し、自動車・産業機器・センサーなど特定用途LSIやパワーデバイスへの重点転換が進んだ。その中でルネサスエレクトロニクスは、車載マイコン分野で2010年代前半に世界シェア首位を維持し、自動車電子化の進展とともに存在感を発揮した。また、KIOXIA(旧東芝メモリ)はSamsungに次ぐ世界2位のNANDフラッシュメーカーとして、3D NAND(BiCS FLASH)を開発・量産化し、スマートフォンやデータセンター向けストレージ市場で重要な役割を果たした。さらに、ソニーはイメージセンサー分野で世界シェアを拡大し、日本発の高付加価値半導体として評価を高めた。
総じて、世界市場は最先端化と多様化が同時進行し、日本は先端ロジック・汎用メモリから高信頼性・特殊用途や世界トップシェアの特定分野へ軸足を移した時代である。