1970年代後半

ポジ型フォトレジスト

〜装置・材料/リソグラフィ〜


ノボラック系ポリマーをベースとしたポジ型フォトレジストは、1944年にドイツのKalle社によって発明され、1962年にドイツのHoechstによって最初のAZ PHOTORESISTが製造された(AZ15)[1]。 1965年、米国のShipleyからAZ1350が発表され、パタンジェネレータ[2]によるレチクル作成用フォトレジストに使用された。しかし現像液が珪酸ナトリウム水溶液であったため、ウェーハ露光では使われなかった。

1970年にIBMがTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)による現像法を発表し[3]、Al配線工程など一部のウェーハ露光に使われ始めた。しかしポジ型レジストは脆性が高く、フォトマスクをレジストに密着させるコンタクト露光法では膜割れによる欠陥が発生しやすいので、ネガ型フォトレジストがウェーハ露光の主流であった。

1970年代後半に、コンタクト露光法に代わってプロキシミティ露光法やプロジェクション露光法がフォトリソグラフィの主流になった[4][5]。 それとともに、コンタクト露光法で使われたネガ型フォトレジストに代わってポジ型フォトレジスト(AZ1350)が多用されるようになった。

国内では、1971年に東京応化がポジ型フォトレジスト(OFPR-2)を初めて国産化したが、AZ1350の問題点であった現像時の表面被膜剥離や断差部での末現像膜残渣などを解決するOFPR-800を1979年に発表した[6]。 このレジストは64KbDRAMのプロセス世代で広く使われるとともに、1980年代の縮小投影露光法を拓く鍵となった。


【参考文献】
[1] AZ PHOTORESIST
[2] 半導体歴史館;1968年:パターンジェネレータ
[3] IBM Technical Disclosure Bulletin, volume 13, No. 7, page 2009 (1970)
[4] 半導体歴史館;1970年代中頃:リソグラフィー技術がコンタクト露光方式からプロキシミティ露光方式へ移行
[5] 半導体歴史館;1970年代:プロキシミティ露光装置およびプロジェクション露光装置
[6] 半導体歴史館;開発秘話 ポジ型フォトレジスト

 

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