1987年

SEMATECHの半導体製造装置開発

〜装置・材料/ファブ・共通〜


SEMATECHは米国半導体工業会(SIA)[1]が中心となり、国防総省(DoD)の支援を受けて1987年に設立した半導体技術開発コンソーシアムである[2]。 前年には半導体デバイスの世界シェアで米国が首位の座を日本に明け渡したところであり、低下しつつあった米国の国際競争力を取り戻す狙いの一環であった。米国には企業間の共同」R&Dを禁じる独禁法があったが、日本の超LSI技術研究組合[3]の半導体産業の発展効果を受けて成立した国家共同研究法(1984年)によって可能になったコンソーシアムである。

SEMATECHでは当初、半導体プロセス技術の開発と半導体製造装置の開発のどちらに力点を置くかに議論があったが、半導体技術が製造装置と材料に強くリンクしているとの認識から1989年に後者に落ち着いた。この方向付けによって、製造装置と材料をプロセス技術のプラットフォームと位置づけてSEMATECHを中心とする業界のコンソーシアム体制で強化し、半導体デバイス企業は様々な用途を拓くデバイス設計で差別化して行くビジネスモデルへ移行するようになった。 SEMI[4]と連携した製造装置形態やEHS(Environment, Health, Safety)に関わる標準規格化はテクノロジ・プラットフォーム化の方向性を更に決定づけたといえる。1980年代に萌芽したファブレス・ファンドリの分業化にも表れるように、SEMATECHのこの方向性は1990年代以降の半導体産業の形態を大きく変えることになったといえる。

1992年にはSIAによる全米半導体技術ロードマップ(National Technology Roadmap for Semiconductor;NTRS)委員会が発足し、SEMATECHはSRC(Semiconductor Research Corporation)と共にロードマップ策定の中心的な役割を果たすようになった。NTRSは15年先までのテクノロジ・プラットフォームの様態とそれを実現する装置・材料のロードマップであり、デバイス企業と装置・材料企業のR&Dの指針を与えることになった。SEMATECは当初は米国企業に限られた国内コンソーシアムであったが、1998年にInternational SEMATECHとなり、世界の半導体関連企業が参加するようになった。同時にNTRSも国際化し、ITRS(international Technology Roadmap for Semiconductor)となった。


【参考文献】
[1] 1977年:米国SIA(半導体工業会)が設立
[2] 1987年:米国SEMATEC(半導体共同開発機構)設立
[3] 1975年:超LSI技術研究組合発足

[4] 1970年:SEMIの発足

 


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