1987年
米国SEMATECH(半導体共同開発機構)設立
〜業界動向〜


1980年代前半では、米系メーカが世界の半導体の50%以上のシェアを占めていたが、1980年代半ばにかけて日系半導体メーカの躍進が明確になり、1987年にはついに日米の半導体シェアが逆転した(図1)。これは1980年代前半のVTR等ブームで日系半導体メーカが得意とする民生用半導体が大きく伸びたことも一因ではあるが、一方でDRAMを中心に日系メーカが大きく躍進したことが最大の要因である。

この結果1978年には日米間の半導体貿易で米国が2900万ドルの入超となったが、米国ではこのような日本の動きが米国半導体産業の脅威として認識され始めた。このため米国半導体の保護と復活の動きが業界を中心に盛んになり、復活の動きとして1982年には米国半導体技術における大学研究機関での長期的な前競争領域での研究開発の指揮、研究者の育成を目的としたSRC(Semiconductor Research Corporation)が米国半導体協会(SIA)の提唱で半導体メーカ11社の出資により発足した。さらに日米間の逆転が明らかになった1987年に米国半導体産業の国際競争力回復を目的とした米国国内組織として米国政府と米系半導体メーカおよび製造装置メーカ14社によりSEMATECH(SEmiconductor MAnufacturing TECHnology)が設立され米国の半導体産業の共通課題の強化および競争力の強化に重点的に取り組んだ。当初の目的は64MDRAMの製造技術の確立と次世代半導体製造装置の標準化であり、設立から5年間の政府(国防省等)からの資金援助は5億ドルに上った。

その後1990年台前半には米国半導体の国際競争力の回復が顕著となり1993年には再び米国半導体生産が日本を抜いて世界第一位に復権したが、その一因としてSEMATECHの貢献があったとされている。

1998年にはSEMATECHは米国政府からの資金援助を止め、世界の半導体先端テデバイスメーカによる製造分野の研究開発コンソーシアムであるISMT(International SEMATECH)として再発足している。

図1 世界半導体地域別供給 : ICガイドブック(2006年版)をもとに作成

【参考文献】
SEMATECH ホームページ
半導体コンソーシアムポータルサイト
「ICガイドブック(2006年版)」(社)電子情報技術産業協会 2006年3月
「セマテックの分析」 土屋大洋『法学政治学論究』第28号(1996年春季号)


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【最終変更バージョン】
rev.000 2010/10/15