2012年
積層型CMOSイメージセンサー開発

~個別半導体・他~



スマートフォンに代表される携帯電話向けのCMOSイメージセンサーは、微細化した画素の画質向上を実現する技術として、金属配線に邪魔されることなく、裏面から効率的に光を取り込むことができる裏面照射型のCMOSイメージセンサーが開発され、感度の向上と高いSN比の実現により暗所でも鮮明な画像を撮ることが可能となった。裏面照射型CMOSイメージセンサーはシリコンの裏面から光を取り込む為にセンサー自体を薄く加工する必要があり、機械的な強度を補う支持基板が使われている。
近年、カメラとしての画質向上だけではなく、新しい機能の追加や高速化・低消費電力化が常に要求されている。それには、ロジック回路の高性能化や低消費電力化、テクノロジー世代進化等が不可欠になる。しかし、画素の高画質特性を維持しながら同一シリコン基板上で製造を両立する技術開発が難しい。
そこで、画素とロジックを別々の基板で最適化したプロセスを用い、裏面照射型の支持基板の代わりにロジック回路基板を画素と3次元積層し、上下のチップ間を TSV (Through Silicon Via) で電気的多点接続する構造を開発した。この積層型CMOSイメージセンサーの利点及び特徴は下記の通りである。

① 画素とロジック回路それぞれのプロセス最適化による最高性能の実現
② ロジックへの搭載回路増加により新しいカメラ機能を1チップで実現
③ チップサイズ縮小(従来比30~40%減)による生産数量拡大

この積層型CMOSイメージセンサーの画素性能とロジック回路機能を強化する事によって、逆光でも色鮮やかに撮影できる「ハイダイナミックレンジ (HDR) ムービー」という新しい機能や、最近では動きの速い被写体へのフォーカス追従性に優れた像面位相差AF信号処理機能をCMOSイメージセンサー内に搭載するなど、更なる高機能化を実現している。

高機能、高画質を実現する手段として、積層型CMOSイメージセンサーは裏面照射型に続く業界の新たなトレンドになっている。また、3次元積層型半導体分野において、民生機器向けに大量生産を行っているという生産規模の観点から、新しいビジネスモデルを実現した製品である。

図1. 積層型イメージセンサー概念図と断面図
図2. HDRムービーの撮像例
(提供:ソニー)

【参考文献】
[1] Shunichi Sukegawa et al.,” A 1/4-inch 8Mpixel Back-Illuminated Stacked CMOS Image Sensor”, ISSCC 2013 Session 27.4
[2] Taku Umebayashi,” 3D Stacked CMOS Image Sensor Exmor RSTM”, ISSCC 2014 Forum F2
[3] Tomoharu Ogita,” Technology and overview of Sony's 3D stacked CMOS image sensor”, 3DIC 2015 International TS9.1.1
[4] ソニー ニュースリリース、“世界初積層型積層型CMOSイメージセンサー “Exmor RS”を商品化”、(2012年08月20日)
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201208/12-107/index.html


【移動ページ】
個別半導体他/該当年代へ


【最終変更バージョン】
rev.001 2016/02/25