1970年代

ポリイミド樹脂

〜装置・材料/結晶・拡散・成膜〜


1970年代後半、配線層間絶縁膜やチップの保護膜に有機材料が始めて導入された。ポリイミド系の高分子材料である。

ポリイミド系樹脂の半導体製造への適用は、多層配線層間絶縁膜として、1973年に日立から発表された[1]。 ワニス状のポリイミド原液をスピンコートし、キュアしてポリイミド膜にする方法であり、Al配線でできる凹凸の上の絶縁膜を平坦化する効果がある。1977年に日立がリニアICの多層配線層間絶縁膜に適用し、その後バイポーラ系ICの多層配線に多くの企業が採用した。

ポリイミドはイミド基を持つ高分子樹脂は軟化点(機械的・電気的性質を保つ最高温度)が約250℃であり、有機材料のなかでは最も高耐熱性材料として1850年代に知られるようになった。そのため、産業用・宇宙用・軍事用などの用途で期待が高まり、1961年、Du Pontから商業化(商標名;Kapton)された。半導体構造材料として最初に適用されたのは、日立が開発したイミド環とイソインドロキナゾリンの共重合体のポリイミドであり、耐熱性と耐摩耗性を高めたものである。1973年に日立化成がモノマーを高純度精製して半導体グレードに合成し、販売を開始した(商標名;PIQ 現在は日立化成デュポンマイクロエレクトロニクス)[2]

PIQはアルミニウム(Al)配線の腐食防止効果があり、無機物に比べてヤング率(弾性係数)が大きく、厚膜化(10μmi以上)にしてもクラック(膜割れ)しないため、MOSLSIチップのパッシベーション膜としても使用された。1970年代末にα線によるソフトエラーが問題になった3μmプロセス以降には、α線遮蔽膜としても使用されるようになった、

現在ではポリイミド系樹脂はSIP(System in Package)用の絶縁膜へも展開され、各社から様々な特徴を有するポリイミド系樹脂が開発・販売が進められている。


【参考文献】
[1]K.Sato, S.Harada, A.Saiki, T.Kimura, T.Okubo, and K.Mukai, IEEE Trans. Parts, Hybrids & Package, PHP- 3, p176 , 1973
[2]金城徳幸, 柿本雅明, 宮寺博, “半導体素子に寄与した高分子材料” 日本の技術革新;第3回国際シンポジウム研究発表会 慧遠文集 2007


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[1] 1960年代前半:横型拡散炉による熱酸化膜及び気相拡散へ移行 
[2] 1960年代前半:シリコントランジスタ製造にエピタキシャル技術を採用 
[3] 1960年代前半:横型拡散炉 
[4] 1960年代後半:常圧CVDによる酸化膜採用 
[5] 1960年代後半:CVD酸化膜を低雑音化プロセスに応用 
[6] 1970年代前半:Poly Si/Oxide/SiNの成膜に減圧CVDを採用 
[7] 1970年代前半:イオン注入による閾値制御 
[8] 1970年代:減圧CVD(LPCVD)装置  
[9] 1960年代後半:イオン注入装置 
[10] 1980年代前半:イオン注入による拡散源形成に移行 
[11] 1980年代:プラズマCVD(低温SiO2/SiN)主流 
[12] 1990年代前半:HDPエッチ&CVD(ECR、ICP) 
[13] 2000年代:ALD(原子層成膜)


[最終変更バージョン]
Ver.001 2018/10/01