1986年

縦型炉

〜装置・材料/結晶・拡散・成膜〜


酸化・アニール・LP-CVDなどの工程には横型炉が使用されていた。水平にした石英ボートに100〜150枚のウェーハを縦に並べ、 それを円筒状の石英反応管に挿入して、全体をヒーター加熱する等温加熱炉であった[1]。 この方式では、石英ボートを石英管内に挿入する際に、ボートと石英管のこすれがあるためにパーティクルの発生が避けられない。 カンチレバーを用いてボートの挿入後に石英管に装着させる方法が採られたが、高温下での石英のたわみ変形によりボートと石英管の交換頻度が高く、 微細化とウェーハの大口径化が進むとともに微小パーティクルの発生も問題になってきた。また、挿入時の大気巻き込みによる自然酸化膜の成長も微細化の障害になり始めた。 これらの問題に対処するために登場したのが、石英反応管を縦にしてウェーハを水平に支えるボートを下方から挿入する縦型炉方式である。

縦型炉のコンセプトは高純度のSi単結晶を作成するフローティングゾーン炉に由来し、1960年代にドイツのHelmut-Seier社が酸化・拡散・CVDプロセスに 適用した例があった[2]。 縦型拡散炉は、1980年代初めに米国Tempress社が初めて開発した。だがその当時は横型炉の問題は深刻ではなく、縦型炉に置き換わることはなかった。 縦型炉のニーズが高まったのはサブミクロン・プロセス領域で、ウェーハ径が150oから200oへ移行する時期であった。1980年代中頃に、日立と国際電気 (現KOKUSAI ELECTRIC)が縦型炉の共同開発を行い、1986年、国際電気(現KOKUSAI ELECTRIC)から酸化・拡散・CVD用の縦型炉VERTEXシリーズが販売された。 光洋リンドバーグ(現光洋サーモシステム)、TELサームコ(現東京エレクトロン)、ASMIも縦型炉の販売を開始した。

縦型炉は微細パーティクルの低減のみならず、ウェーハの回転機構が導入されてプロセスのウェーハ内均一性が大幅に向上した。 さらに横型炉に比してウェーハの自動移載が容易になり、装置の設置面積の縮小、石英部品交換頻度の低減など、生産性が格段に向上した。

 図 縦型炉VERTEX
 (KOKUSAI ELECTRIC提供)


【参考文献】
[1]1960年代前半:横型拡散炉
[2] VLSI Research "Diffusion and Oxidation"

 

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[1]1960年代前半:横型拡散炉による熱酸化膜及び気相拡散へ移行
[2]1960年代前半:シリコントランジスタ製造にエピタキシャル技術を採用
[3]1960年代前半:横型拡散炉

[4]1960年代後半:常圧CVDによる酸化膜採用

[5]1960年代後半:CVD酸化膜を低雑音化プロセスに応用

[6]1960年代後半:イオン注入装置

[7]1970年代前半:Poly Si/Oxide/SiNの成膜に減圧CVDを採用

[8]1970年代前半:イオン注入による閾値制御

[9]1970年代:減圧CVD(LPCVD)装置

[10]1970年代後半: プラズマCVD装置 [工事中]

[11]1980年代前半:イオン注入による拡散源形成に移行

[12]1980年代:プラズマCVD(低温SiO2/SiN)主流

[13]1988年:W-CVD装置

[14]1990年代前半:HDPエッチ&CVD(ECR、ICP)

[15]2000年代:ALD(原子層成膜)


[最終変更バージョン]
Ver.001 2019/11/23