1969年以降
電電公社は情報通信用LSIの開発を積極推進

~業界動向~


1969年、多様な電子通信サービスを提供するためにデータ通信の情報処理を行えるコンピュータDIPS (Dendenkousha Information Processing System)の開発を目的として、電子通信研究所を主管とする日本電気,日立製作所,富士通との4社の共同開発プロジェクトがスタートした。このプロジェクトは1966年に超高速電子計算機研究組合[1]を発足させていた通産省の反対を押し切って電電公社が発足させたものである。

電電公社は1964年頃から通信とコンピュータを融合させた全国規模のデータ通信網サービスの展開を目指した。そして先ず1965年に日本電気,日立製作所,富士通、沖電気と共同して4kbMOSメモリを採用した自動電子交換機を開発し、1968年には大量のデータ通信が可能な電話回線による専用データ通信サービスを開始した。同時に(1968年)全国規模の様々なデータ通信サービスに必要なオンライン用大型コンピュータの独自開発の準備し、1969年に本プロジェクトを開始したのである。独自開発を目指したのは、全国に展開されたコアの端末機器を繋いだデータ通信システムのオンライン情報処理には通産省主導の前期研究組合の商用メインフレームでは不十分とされたからである。その結果、1971年にDIPS-1の試作機が開発され、1972年から稼働した。

このプロジェクトではメインフレームの諸要素に超高速電子計算機研究組合の成果が共有されたが、DIPS-1独自のものとしては4台マルチプロセッサ・16MBのDRAMメインメモリ・ローカルメモリ・ページングを組み合わせた方式など 世界に先駆ける方式・技術が開発された。特に半導体開発は重視され、VLSI化に向かう1970年代の日本の半導体技術の高度化を先導した。中でもメインフレームでのNMOS-キャッシュメモリ[2]の採用は先駆となった。DIPSプロジェクトはその後も継続され、1975年の超LSI研究組合[3]に先んじて64KDRAM、256KDRAM、CMOS-CPUなどの開発が進められた。


【参考文献】

  1. 日本半導体歴史館 業界動向1966年 政府の産業育成策で超高性能電子計算機研究組合の設立
    https://www.shmj.or.jp/industry-trends/it196007.html
  2. 日本半導体歴史館 集積回路1960年代後半 MOSメモリの萌芽
    https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi718.htm
  3. 日本半導体歴史館 業界動向 1975年 超LSI技術研究組合発足
    https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi047.htm


Ver.001: 2026/2/1