1960年代後半
IC産業の本格的始動と日本の動向
~業界動向~
1958/59年にIC技術が発明された[1],[2]。これによって60年初めごろの米国で、コンピューティングに用いられるRTL・DTL・ECL・TTLなどのトランジスタ論理回路が次々とIC化された[3][4][5][6]。これと並行して、欧州や日本も加わった通信機や様々な民生機器用の電子回路のIC化開発が進められた。60年代中頃にはその成果が様々な分野で現れ始めた。例えば1954年にスタートしたISSCCでは、1964年前後からIC関連の発表が急増した。そして60代後半にはいよいよIC産業が本格的にスタートした。
日本においては、米国でのIC開発の情報を得て直ぐにIC開発が始まり、1960年の電気試験所によるIC試作成功を皮切りに民間企業での開発が進められた[7]。そして1950年代のトランジスタの国産化の場合と同様に、IC開発においても先行する米国のIC技術の学習・導入が積極的に進められた。1960年代後半のISSCCやIEDM等の国際会議には多くの日本人が出席するようになったのもその表れである。
軍事・宇宙産業がほとんどなかった日本におけるIC開発は、大型コンピュータと民生機器用途に集中された。前者においては、1964年のSystem360(IBM)に対抗する国産コンピュータ開発に向けた通産省主導の超高性能電子計算機開発プロジェクト(1966年設立)[8]を契機にしてコンピュータ用ICの国産化が進み、同時に日本のIC技術基盤形成に寄与した(このプロジェクトでは1970年代に主流となるNMOSメモリの提案(1969ISSCC発表)[9]等がある)。1970年代に日本半導体産業の柱となった電卓用MOSLSI[10]はこの技術基盤上で育ったといえる。一方、後者の民生機器向けICでは、ラジオ・TV・電卓などの家電企業が主導して日本の産業競争力を高めた[11][12][13]。これらの民生用半導体分野では、日本独特の高品質・低価格製造力と軽薄短小化技術を活かし、先行していた米国をリードするようにもなった。1960年代後半は1970年代以降の日本半導体躍進への踏み台となった。
【参考文献】
- 日本半導体歴史館 集積回路 1958年 半導体ICの発明
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi716.htm - 日本半導体歴史館 集積回路 1959年 プレーナ型ICの発明
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi717.htm - 日本半導体歴史館 集積回路 1961年 RTLの登場(米国Fairchild)
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi1201.html - 日本半導体歴史館 集積回路 1962年 DTLの発売(米国Signetics)
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi1202.html - 日本半導体歴史館 集積回路 1962年 ECL論理のIC MECL Iの発売
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi750.htm - 日本半導体歴史館 集積回路 1960年代中期 TTLの登場
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi749.htm - 日本半導体歴史館 集積回路 1960年代初 国産ICのスタート
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi719.htm - 日本半導体歴史館 業界動向 1966年 政府の産業育成策で超高性能電子計算機研究組合の設立
https://www.shmj.or.jp/industry-trends/it196007.html - 日本半導体歴史館 集積回路 1960年代後半 MOSメモリの萌芽
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi718.htm - 日本半導体歴史館 集積回路 1960年代中期 電卓用ICの量産開始
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi720.htm - 日本半導体歴史館 集積回路 1960年代後半 民生用アナログICの製品化
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi706.htm - 日本半導体歴史館 業界動向 1969年 電卓による日本LSI産業の拡大
https://www.shmj.or.jp/industry-trends/it196009.html - 日本半導体歴史館 集積回路 1972~1973年 電卓用CMOS LSIの製品化
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi707.htm
Ver.001: 2026/2/1
